飼い猫との遊びや触れあいなどのコミュニケーションは、猫が安心して暮らしていくためには欠かせません。飼い主さんも心の安らぎを感じるのではないでしょうか。
猫はマイペースで自由奔放な性格だと言われますが、コミュニケーションが不足すると、猫はストレスや不安を感じるようになり、飼い主さんを信頼しなくなることさえあります。
といって、過度にコミュニケーションをとっても、猫はストレスを感じることがあります。
この記事では、飼い主さんが、コミュニケーション中に、猫に対してやってはいけない行為を3つとりあげています。
猫を凝視する
かわいくて、じーっと見つめてしまうことがあるかもしれません。しかし、近くはもちろん、少し離れていても、猫を凝視するのは、飼い主さんがやってはいけない行為です。
凝視する行為は、猫が獲物を狙うときの行為と同じことで、猫側からすると、飼い主が自分のことを狙っている、攻撃しようとしていると勘違いし、威嚇してきます。
飼い猫の顔を近づけて、無意識に鼻をすすったら、ネコパンチがとんできて、ほほを引っかかれたことがあります。
近くで猫の顔を見たいときは、ゆっくりまばたきをします。ゆっくりまばたきをすることで、「私はあなたに敵意はないのよ」という気持ちが猫に伝わります。
撫ですぎ
猫を撫でるのは、猫と飼い主さんとのコミュニケーションの一つです。猫がすり寄ってきたら、やさしく撫でましょう。飼い始めの頃は、首から上だけを撫でます。慣れてきたら、首から下のお腹などを撫でさせてくれるでしょう。
嫌がったら、首から下を撫でてはいけません。本来、猫は、首から下、特にお腹を触られるのが苦手です。首から下を触らせるのは、飼い主さんが猫に信頼されている証です。
しかし、撫でている時間が長くなると、喉をゴロゴロ鳴らしていた猫が、急に噛みついてくるとがあります。飼い主さんからしたら「なんで-!」と思うでしょうが、急に噛みついてくるのは、「愛撫誘発性攻撃行動」(「撫ですぎ猫反撃行動」)という猫の特性が関係していると考えられています。
決して怒ってはいけません。猫の特性を知らなかった自分が悪かったのだと思って、「ゴメンネ」と謝っておきましょう。
猫が、しっぽを激しめに振り出したり、体をよじたりし出したら、それ以上撫でるのをやめます。しっぽを振り出す前、体をよじる前に、撫でるのをやめられるようになったら、猫の気持ちや行動がわかっている飼い主さんです。
抱っこのしすぎ
「抱っこ」を嫌がる猫がいると思いますが、動物病院に行ったときに抱っこができないと診察に支障をきたすことがあります。また、爪切りのときに抱きかかえないといけないので、時間をかけてでも抱っこに慣れさせるようにしましょう。
しかし、「抱っこのしすぎ」は、猫の行動の自由を制限する行為です。「撫ですぎ」のところに書いたように、しっぽを激しめに振り出したり、体をよじたりし出したら離します。
抱っこを嫌がる猫の場合
抱っこをするタイミングは、猫が飼い主さんに甘えたくて近寄ってきたときです。飼い主さんが外から帰ってきたときに近寄るのは、おそらくニオイをかぎにきているだけなので、納得がいくまでニオイをかがせるようにしましょう。
抱っこを嫌がる猫に対しては、飼い主さんは座った状態で、猫が膝の上に乗るように「おやつ」で誘導します。飼い主さんの膝の上に乗ったらおやつがもらえるということを学習させ、座った状態で抱っこしてみましょう。
抱っこした状態で飼い主さんが立ってしまうと、猫に恐怖心を与える可能性があるので注意が必要です。焦らず、繰り返すしかありません。
頑なに抱っこを嫌がる猫がいます。そんな猫の場合は、飼い主さんの膝に乗るようになっただけでもOKとしてもいいのではないでしょうか。
<猫が抱っこを嫌がる理由があるかも>
猫の性格や過去の嫌な体験によっては、抱っこを断固拒否する猫がいます。しかし、猫は、次のような理由で抱っこを拒否しているのかもしれません。心当たりはありませんか?
1.ムギュッと力強い抱っこをされることがある
2.不安定で落ちそう(抱っこがヘタ!)
3.「高い高ーーい」と、持ち上げられることがあるので怖い
4.飼い主さんのニオイが苦手(香水やタバコのニオイなど)
5.爪切りのときに痛い思いをした
急に抱っこを嫌がるようになったら、痛みなどの体に変調があるのかもしれませんので、おかしいなと思ったら獣医師に相談しましょう。
抱っこが好きすぎる猫の場合
甘えん坊の猫は、飼い主さんにぴったりくっつき、抱っこも大好きです。しかし、あまりにも飼い主さんから離れられない猫の場合、「分離不安」を起こす可能性があります。
分離不安とは、飼い主さんと離れてひとりになることに不安を感じ、ストレスとなってしまう症状のことです。完全室内飼いが多くなり、人といる時間が長くなったことで、分離不安を起こす猫が増えていると言われています。
分離不安の具体的な症状としては、次のようなことがあげられます。
1.飼い主さんがそばにいなくなると、鳴きながら飼い主さんを捜そうとする。
2.何かのすき間に隠れて出てこない。
3.物を破壊する。
4.攻撃的になる。
5.トイレでないところで粗相をする。
6.頻繁に毛づくろいをするようになる。 など
まとめ
猫とのコミュニケーションは、猫の健全な心のためには欠かせません。飼い主さんにとっても心が安らぐひとときになります。
しかし、過度なコミュニケーション、「猫を凝視する行為」、「撫ですぎ」、「抱っこのしすぎ」は、猫にストレスを与えてしまいます。
猫の状態(しっぽの動きや耳の形など)をよく見極め、あるいは、猫の性格を知って、ほどよいコミュニケーションをとると、猫と飼い主さんが快適に暮らしていけます。
しっぽの動きや耳の形で猫の気持ちがわかるという記事を書いていますので参考にしてください。
・猫のしっぽが語るあなたに伝えたいこと13のポーズを解説
・猫のフレーメン反応|笑っているの?くさがっているの?
<参考>『猫にいいこと大全』主婦の友社