「猫のふみふみ」は、「cat kneading(キャット ニーディング)」と英語では表現されています。
パン生地やビスケットを作っている行為に似ていることから、「knead」という言葉が使われています。※knead:捏ねる(こねる)、練る(ねる)
飼い主さんのお布団の上や、時には飼い主さんのお腹の上で、指をグーパー、グーパーする猫の行為は、どんな理由があるのでしょうか。
この記事では、猫がふみふみする理由を6つご紹介しています。
猫がふみふみする理由6つ
床など、硬いものの上でふみふみしていることもありますが、ほとんどの場合、羽毛布団、毛布など、柔らかくて暖かみのあるものの上でふみふみしています。
猫は、この柔らかくて暖かみのあるものの上でふみふみしているというのが、理由を考える上での一つのヒントになっています。
(1)赤ちゃんのときのなごり
猫がふみふみするのは、「赤ちゃんのときのなごり」というのが、最も言われています。
赤ちゃんのとき、母親のオッパイに吸い付いて、よく乳がでるように前足でオッパイをもみもみしていたときのなごりです。
離乳期をすぎた子猫に多くみられる行為ですが、成猫になってからも続けている猫もめずらしくありません。
母親から早い時期に引き離された子猫に多くみられる行為とする専門家もいますが、東京猫医療センター院長の服部幸氏は、「正直なところあまり関係ないような気がします」と言っています。
(2)マーキングしている
猫の肉球のニオイをかいだことがあるでしょうか。
ニオイをかいだことのある人は、香ばしいニオイがしたかもしれません。
中には、ポップコーンのようなニオイがしたと言う人もいます。
猫の肉球には汗腺があるので、汗のニオイがついています。また、いろんな物に触れたときについた汚れなどのニオイがついています。
さらに、肉球には臭線があり、ここからフェロモンを出しています。
つまり、自分の体臭やフェロモンをお布団などにつけてマーキングし、自分の所有物や縄張りであることを主張しているのです。
(3)飼い主さんへの愛情表現
飼い主さんがうつぶせになっているときに背中に乗ってきて、ふみふみすることもあるのではないでしょうか。
直接飼い主さんに、あるいは、飼い主さんのいる近くでふみふみして、「快適だよ」、「幸せだよ」ということを伝えているという説があります。
猫がふみふみするのは、リラックスしているときなので、ふみふみしながら喉をゴロゴロ鳴らしていたら、飼い主さんへの愛情表現であるというのは有力説だと思います。
(4)寝床をつくっている
野生の猫は、草むらで休息するとき、あるいは、出産するとき、その場所と周辺の草を倒して柔らかくします。草むらは身の安全を守ったり、獲物を捕らえるための絶好の隠れ場所です。
犬は寝る前に、寝る場所の土を掘るような行為をし、その場所で2、3回くるっと回って横になります。猫のふみふみもこれと同じような意味合いの行為ではないかという説です。
(5)ストレッチしている
私たちは、目覚めたときやデスクワークをした後に、両腕を上に向かって伸ばすことで、固まっていた筋肉をほぐすことがあります。
同様に、ふみふみして足をのばすことで、筋肉をほぐしている可能性があります。
指をグーパー、グーパーすることで、筋肉を鍛えているのかもしれません。
全身筋肉のような体なので、日頃からストレッチをしておかないと、あのジャンプ力は瞬時には出ないでしょう。
(6)発情期を迎えている
メス猫は、発情期に入る前にふみふみすることが知られています。横になって空気をふみふみするようなしぐさをする発情期のメス猫もいます。
メス猫のふみふみは、オス猫に交尾の準備ができたことを知らせていると言われています。
ただ、発情期に入ると、ずっと鳴いていたり、外に出たがったりするので、ふみふみだけなら発情期を迎えたとは言い切れません。
オス猫の場合は、発情期を迎えると後ろ足でふみふみするのが特徴です。
発情期を経験する前に去勢・避妊の手術をしていれば、猫にとって発情期のストレスがなくなりますが、去勢・避妊の手術をしていても、発情期同様の行為をみせる猫もいます。
ふみふみしてくれない
ネット上では、猫がふみふみしている愛らしい動画を見ることができます。
しかし、すべての猫がする行動ではありません。また、猫の年齢や性格などにもよります。
ふみふみは、猫の飼い主さんへの愛情表現でもありますが、猫の愛情表現は、ふみふみだけでなく、例えば、しっぽでする場合もあります。
しっぽについては、こちらで解説しています。
>>猫のしっぽが語るあなたに伝えたいこと13のポーズを解説
猫のふみふみはやめさせるべき?
猫がふみふみするのをやめて欲しい場合、ふみふみしているときに、そっと下に降ろす、おやつやおもちゃで気をそらすという方法を繰り返すしかありません。
ふみふみしながら、ツメを出し入れする猫の場合、飼い主さんの体を傷つけ、そこから雑菌などが入り込むと化膿することがあります。また、高級羽毛布団など大切なものを傷つける可能性があります。
ツメを出す場合、事前にツメを短く切っておく、大切なものの上にいらなくなった毛布やタオルなどをかぶせておく、といった対策をしておきましょう。
ふみふみは、猫の本能なので、決して怒ってはいけません。怒ることで、飼い主さんを避けるようになるかもしれません。
参考:服部幸『ネコにウケる飼い方』ワニブックスPLUS新書