猫のサマーカットはなぜ危険なのでしょうか?

夏の暑い日、もふもふ猫を見ていると、「暑くないかな?」「サマーカットしてあげようかな?」と思うことがあるのではないでしょうか。

しかし、猫の毛の役割を知れば、サマーカットをする必要がなく、むしろ「猫のサマーカットは危険」と思うかもしれません。

 

猫の毛の役割-体温の調節-

ほとんどの猫は、1つの毛穴から1本の「主毛」と複数の「副毛」が生えています。主毛は太くて硬く、「上毛、オーバーコート、一次毛」などと呼ばれることがあります。副毛は細くて柔らかく、「下毛、アンダーコート、二次毛」などと呼ばれることがあります。

夏になると上毛が薄くなることで、風通しがよくなります。下毛は夏には空気の層をつくり、外からの熱を防ぐ断熱材の働きをします。冬には上毛が長くなり、下毛が密になることで保温効果を高めます。

このように、猫の毛は体を保護するためでなく、体温が調節できる構造になっているので、サマーカットしてしまうと、体温の調節ができなくなってしまうので危険です。

 

猫の毛の役割-皮膚癌から守る-

サマーカットしてしまうと、猫の皮膚に直接紫外線・日光があたる可能性があります。

紫外線・日光が皮膚に直接あたると、日焼けをします。人間と同じように、日焼けをすると痛みを伴います。

それだけでなく、癌ができる危険度が高まります。

鼻や耳の先端など、特に毛が生えていない部位、毛が薄い部位にできる癌として、「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」というのがあります。

扁平上皮癌が発症しやすい鼻や耳の先端などは、直接紫外線・日光にさらされているのが原因の一つです。

 

危険を回避するセンサー

口元に生えている長いヒゲ(上唇毛)は、体や足より前に障害物を感知するセンサーの働きをしていることはよく知られています。なので、この毛を切ってしまう飼い主さんはいないでしょう。むしろ、抜け落ちたヒゲを集めてコレクションにしている人がいるほどです。

上の写真のように、猫の顔には、6種類のセンサーの働きをしている毛が生えています。これらの毛は、障害物を事前に感知したり、狭い場所を通るときに体が通過できる幅かを測るメジャーの働き、超音波をキャッチする働きをしています。

これらの毛をカットすることは、猫にとっては危険です。

危険を回避するセンサーの働きをしているのは、顔のヒゲだけではありません。

猫の前足の「手根球」の少し上に、長くて硬い「触毛」が生えています。この毛は、猫が歩くときや飛び降りて着地するとき、障害物を感知したり障害物との距離を測ったりする重要な感覚器官の一つです。

また、肉球の間の毛は、熱くなった地面を歩くときに肉球をヤケドから守ったり、砂地で足が滑らないようにする働きをしています。

ただ、完全室内飼いの場合、肉球の間の毛が伸びすぎると、フローリングなどで滑ってケガをする可能性があるので、肉球の間の毛をカットした方がよいと思われます。触毛だけはカットしないように注意してください。

 

ブラッシングは必要

猫の毛をカットするメリットはありませんが、ブラッシングは定期的に行いましょう。短毛猫は週に1~2回、長毛猫はほぼ毎日のブラッシングが理想的です。

1.特に長毛猫の場合、毛がからまって毛玉ができやすいので、ブラッシングをおこたると毛玉を取るのに大変苦労します。

2.猫は毛づくろいするときに、自身の毛を飲み込みます。飲み込んだ毛は胃にたまり、たまった毛はくことで外に出しますが、吐く行為はとても猫の体力を奪ってしまいます。少しでも飲み込む量を減らすためには、ブラッシングは重要です。

3.ブラッシングは皮膚のマッサージも兼ねています。皮膚をマッサージすることで新陳代謝がうながされ、毛並みもきれいになります。

(注意点)猫の機嫌が良いときに、短時間で終わらせましょう。ブラッシングしている様子をチラチラ見だしたらやめ時です。

 

まとめ

猫の毛は、特に次のような働きをしているので、サマーカットすると危険です。

1.体の温度調節をしている。
2.紫外線・日光が直接あたらないようにし、皮膚癌のリスクを下げている。
3.触毛は障害物を感知したり障害物との距離を測ったりしている。

暑くなると、屋外にいる猫は涼しい場所に移動しますが、室内飼いの猫はそれができないので、夏の室温は27℃前後を保てるようにしてあげましょう。

参考:『毛柄がいっぱい!ねこのきもち』(ベネッセ)

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