窓から外をじーっと眺めている愛猫をみると、外に出してあげたくなりますよね。
YouTubeなどの動画サイトで、飼い主さんが猫を散歩させている動画をよく見かけるようになったことも、外に出してあげたいという気持ちを強めていると思います。
少し前までは考えもつかなかった猫の散歩ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、デメリットはどのようなものかについてまとめました。
猫の散歩のメリット
室内で過ごすことの多い猫にとって、外の世界のニオイ、音、景色などが刺激になり、ストレス解消になると思われます。
また、外の世界の音に慣れさせることで、室内にいても外の大きな音に驚いたり、恐怖心を抱いたりしなくなり、精神面で健康に過ごすことができます。
おそらく猫の散歩のメリットは、これくらいだと思われます。
猫が、窓から外をじーっと眺めているのは、「縄張りである自分の家に何ものかが侵入してこないか見張っている」、「外にいる虫や小鳥に夢中になっている」程度のことだと言われています。
また、猫がよく出窓にいるのは、「外に出たい!」と思っているのではなく、「日向ぼっこができて気持ちがよい」、「風の音や鳥のさえずりに耳を傾けている」などが理由になっていることが多いようです。
猫の散歩のデメリット
窓から外をじーっと見ている猫の姿を見ると、外に出してあげたくなると思います。しかし、「猫に外の空気に触れさせるといいのではないか」というのは、人間側のかってな思い込みであって、外に出たくない猫もいます。
ノミ・ダニの寄生
完全室内飼いでもノミ・ダニに寄生されることはありますが、外に出ると寄生される確率が一気に高まります。
猫に寄生したノミやダニは、皮膚炎やかゆみの原因になります。それだけでなく、ダニがウイルスや細菌を保有していた場合、重篤な感染症を起こすことがあります。
特にマダニが寄生すると、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症する可能性があります。SFTSウイルスは人間にも感染する病気です。国立感染症研究所によると、猫がSFTSウイルスに感染すると致死率は60～70％です。人間の致死率は約20％です。
※SFTS：Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome
マダニは、草むら、ヤブ、山林、畑、家の裏庭などに生息しています。特に、野生動物が出没する環境に多く生息しています。
逃げ出して迷子猫に
猫は、しなやかで柔らかい体をしています。強めにすると苦しいだろうと思って、首輪やハーネスをゆるめにしていると、突然の大きな音などに驚いたとき、首輪やハーネスから体がするりと抜けて駆け出し、迷子猫になる可能性があります。
縄張りを広げると危険
完全室内飼いの猫の場合、当然、縄張りは家の中です。猫を散歩に連れ出すと、猫は縄張りが広がったと考えます。
縄張り意識の強い猫は、縄張りをパトロールするために外に出たがり、窓やドアを引っかいたりします。偶然ドアが開いてしまうと、脱走してしまい、そのまま迷子になってしまう可能性すらあります。
毎日のように散歩できればいいのですが、そうでない場合、外に出られないことへのストレスを感じるようになることもあります。
犬のように訓練はできない
犬の場合、飼い主の歩調に合わせて歩いたり、待て、進め、おいでといったコマンドが理解できるように訓練できますが、猫はそうはいきません。
突然走り出したり、全く動かなくなったり、木などに駆け上がったりする猫に飼い主さんは振り回されるかもしれません。
リードを強く引っ張ったりして猫を強制的に歩かせると、猫にとって散歩は楽しいとは感じず、不快と感じます。また、飼い主さんにとっても楽しくないと思われます。
外に出たくない猫もいる
例えば、野良猫として生きてきた猫は、小さな頃から危険な思いをしてきたはずです。
幸運にも今の飼い主さんに出会い、何日も食べられないということがなくなり、また、安心して眠りにつくことができるようになりました。
このような猫を外に連れ出すと、またひとりぼっちになるのではないか、といった恐怖心がつきまとい、以後、飼い主さんに寄りつかなくなる可能性があります。
まとめ
猫の散歩のメリットとデメリットをまとめてみると、メリットになることは少なく、デメリットの方が多いということがわかりました。
猫ちゃんの性格にもよりますが、それでも散歩させる場合は、ノミ、ダニ、マダニ、フィラリア対策を必ずしましょう。また、日本ではワクチンの接種が推奨されています。
参考：『ニャンでかな？世界一楽しく猫の気持ちを学ぶ本』宝島社
