猫のフレーメン反応|笑っているの?くさがっているの?

猫が何かのニオイを嗅いだとき、しばらく口を半開きにして、笑っているように見えるときがあります。

ときには、飼い主さんの靴下や自分のお尻を嗅いだ後などは、「くさっ!」と言わんばかりの変顔をする猫。

いずれも、フレーメン反応(フレーメン現象)と呼ばれる猫の生理現象です。

※猫のフレーメン反応の例:音量注意。下記動画には効果音が入っています。41秒。

 

なぜ口を開けるの?

通常は鼻を使ってニオイを嗅ぎ分けます。

しかし、よりニオイの情報を集めたいときに口を開け、ヤコブソン器官(鋤鼻器官、じょびきかん)という嗅覚器官も使って嗅ぎ取ろうとします。

特に、フェロモンやマタタビなどの揮発性のニオイを嗅ぎ取ろうとするときにヤコブソン器官を使います。

フレーメン反応は、メス猫のフェロモンを嗅ぎ取ろうとするオス猫に多くみられるようです。

ヤコブソン器官への入り口は、上あごの前歯のすぐ後ろにあります。

 

猫は笑わないの?

猫は、笑っているわけでもなく、起こっているわけでもない、フレーメン反応というしぐさをすることがわかりました。

じゃぁ、猫は笑い顔を私たちに見せることはないのでしょうか。

私たち人間は、表情筋を使って、笑い顔、怒り顔、悲しみの顔などを表現することができます。

一方、猫は、表情筋が非常に少ないので、笑い顔をすることができません。

猫は、野生で生き残るために、感情を顔で表さないように進化したと言われています。

猫は、歓びを顔で表現できないかわりに、体を使って私たちに伝えています。

 

ゴロゴロで笑う

猫の体をなでていると、ゴロゴロとのどを鳴らすことがあります。

猫が最もリラックスして、機嫌がいいときです。

猫自ら飼い主さんのヒザの上などに乗ってゴロゴロ鳴らすのは、甘えているときです。

目を細めるので、顔が笑顔になっているように見えますよね。

このとき飼い主さんも幸せな気分になります。

ちなみに、ゴロゴロ鳴らしながら、飼い主さんに近寄ってうろうろする動作は、「お腹が減ったのでごはんちょうだい」、「遊んで」、「この部屋から出たいのでドアを開けて」など、何かを要求しているときです。

ただ、ゴロゴロ鳴らすので、猫の体をなでようとすると、触られるのを嫌がるのなら、猫の体調が悪いのかもしれません。

猫は、苦痛をやわらげるため、ゴロゴロとのどを鳴らすことがあります。触られるのを嫌がるようなら、獣医師に相談してみてください。

 

しっぽで笑う

猫のしっぽが垂直にピンと立っているときは、幸せであることを表現しています。

また、まっすぐに上に向け、先を曲げて飼い主さんに近づいてくるときは、フレンドリーという気持ちを表しています。

さらに、立っている飼い主さんの足に体をこすりつけてきた場合、飼い主さんに甘えたいか、ごはんやおやつなど、何かを要求しているときです。

飼い主さんを見て、しっぽをまっすぐ立てると、笑顔になっているということですね。

 

耳で笑う

耳がまっすぐ上を向き、少し前を向いているときは、リラックスして幸せで満足している気分を表現しています。ヒゲもピンと張ります。

おそらく、飼い主さんだけは、猫が笑っていると思えることでしょう。

これに対し、耳がまっすぐ上を向き、より前をむいているときは、何かに集中しているときです。目が一点を見つめていることが多いです。

 

いたずらして笑う

柱でツメをといだり、カーテンにツメをひっかける。

猫がよくやる、飼い主さんからみると、いたずらです。

猫の次のような行為はどうでしょう。行為をしながらほくそ笑んでいるかもしれません。

※動画にはBGMが流れています。38秒。

テーブルなどに置かれている物を下に落とす行為です。落とすだけでなく、落下した後どうなったかを確認しているところが注目されます。

猫が物を下に落とす行為には、次のような理由があると考えられています。

(1)ただ単に遊んでいる。
(2)飼い主さんの注意をひいている。
(3)物が死んでいることを確認している。
(4)猫は物理法則を理解している。

(1)退屈をまぎらわすために、物を落として遊んでいるという見方ができます。

(2)物を落としたときの音で、飼い主さんが飛んでくることを学習したのかもしれません。「おっ、来た来た、おそいぞ!」と内心で笑っているのかもしれません。

(3)猫は、ネズミなどの獲物をつかまえたとき、足で動きをみて、死んでいることを確認します。この行為と同じく、本能的に物を床に落としていると考えられています。猫は、ネズミなどの獲物と置物とは違うことは最初から分かっています。

(4)猫は物が動くと音が鳴り、物が入っている箱をひっくり返すと下に落ちるという重力の仕組みを理解していると考えられています。このことから、テーブルなどから物を下に落とす行為は、重力の仕組みを学習していると思われます。学習の結果、猫は、「はやり、予想したとおりだニャ」とほくそ笑んでいるかもしれませんね。

<参考>
・服部幸『ネコにウケる飼い方』(ワニブックス)
・Saho Takagi, Minori Arahori, Hitomi Chijiiwa, Mana Tsuzuki, Yuya Hataji & Kazuo Fujita「There’s no ball without noise: cats’ prediction of an object from noise.」(『Animal Cognition』volume 19, pages1043~1047 (2016))

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