猫が家の中を自由に移動できる状態、つまり、室内で放し飼いにしていてもいいものか悩まれているのではないでしょうか。特に、猫だけが留守番をしているときは、心配だと思います。
結論から言いますと、室内での放し飼いとケージの利用を併用するのが望ましいです。特に、多頭飼いの場合、ケージ利用のメリットが大きいです。
まず、他の猫の飼い主さんはどうしているかみてみましょう。
ケージを使っている猫の飼い主さんはどれくらいいるの?
2017年に「東京電力エナジーパートナー株式会社」が、「外出中のペットに関する意識調査結果」というのを発表しています。以下、この調査結果をみていきます。
外出する際ペットをどのように過ごさせていますか?
「外出する際、ペットをどのように過ごさせていますか?」という問いに対して、猫の飼い主さんの82%が、犬の飼い主さんの61%が、「移動範囲を制限していない」と回答しています。
一方、「ケージやサークルで特定の範囲の場所のみで過ごさせている」のは、猫の飼い主さんが2%、犬の飼い主さんが16%という結果でした。
猫だけが留守番する場合、「ケージやサークル」、「特定の範囲の部屋」、「ペット専用の部屋」で過ごさせている猫の飼い主さんは15%しかいません。
犬の場合、やんちゃ盛りだと、ゴミ箱を倒したり、紙をちぎって遊んだりしてしまうので、移動制限をしている飼い主さんが、猫の飼い主さんより多いのだと思われます。
ケージの利用率が低いのですが、外出中、愛猫のことが心配ではないのでしょうか。
外出中のペットが気になりますか?
猫の場合、「とても気になる」と「やや気になる」を合わせると56%の飼い主さんが、留守番中の愛猫のことが気になるようです。男性より女性の方が気にしているという結果になっています。
猫・犬の飼い主さんは、「何か異常なことが起こっていないか」、「体調が悪くなっていないか」、「いたずらしていないか」といったことを気にしています。
「特に何もなくても、ペットの様子が気になる」のは、女性に多いようです。
猫もけっこうイタズラ好きですが、「電気コードをかじったり、引っかいたりする」行為は、危険なイタズラの一つです。下の動画の”めめちゃん”に限らず、携帯の充電コードで遊ぶ猫もたくさんいます。
留守番をする猫をケージに入れるメリット
ケージを利用している猫の飼い主さんは少ないですが、猫をケージに入れるメリットは次の4つが考えられます。
・誤飲を防げる
・高所からの落下事故を防げる
・猫のパーソナル空間になる(多頭飼いのメリット)
・災害時やペットホテルでのストレス軽減
誤飲を防げる
2021年のペットメディカルサポート株式会社(PS保険)の調査によりますと、「誤飲」による診察を受けた猫は、1歳未満が最も多く全体の39%でした。年齢が上がるにつれて、誤飲の率が下がる傾向にあります。
猫の誤飲で多いのは、ヒモ、輪ゴム、ビニールの破片、おもちゃの破片、ティッシュ、紙片などです。焼き鳥の串や縫い針を飲み込む場合もあるので、注意が必要です。
PS保険によると、猫の誤飲にかかる平均費用は次のようになっています。
通院費:約21,000円(通院日数1.8日)
入院した場合の費用:約68,000円(入院日数3.7日)
手術した場合の費用:約93,000円(手術回数1.02回)
2020年のアイペット損害保険株式会社の調査によりますと、誤飲は、最も費用のかかる傷病です。異物は、開腹手術、内視鏡、薬で吐かせるなどの処置で取り出されます。
順位 | 保険金請求が多い傷病ランキング | 手術費用ランキング |
1位 | 下痢 | 異物誤飲 |
2位 | 皮膚炎 | 腫瘍 |
3位 | 腎臓病 | 歯周病 |
4位 | 膀胱炎 | 尿石症 |
5位 | 異物誤飲 | 骨折 |
6位 | 胃腸炎 | |
7位 | 心臓病 | |
8位 | 結膜炎 | |
9位 | 嘔吐 | |
10位 | 尿石症 | |
出典:アイペット損害保険株式会社 |
高所からの落下事故を防げる
室内で猫が骨折する原因で一番多いのが、高い所からの落下です。「どうやって登ったのだろう」と思ったことがあるのではないでしょうか。
猫は、体が柔らかいので、高い所から飛び降りてもしっかり着地すると思われがちですが、下がフローリングなど滑りやすい材質だと、失敗する確率が高いです。また、下が硬い材質だと、骨が折れなくても足の関節に悪いのは確かです。
室内飼いの猫が骨折する原因は、高い所からの落下だけではありません。低い所からの落下でも骨を折ることがあります。猫は落下しながら着地の体勢を整えますが、低い所からだと着地の体勢を整えるのに間に合わないのが原因です。
猫の骨折にかかる費用の一例は次の通りです(PS保険より)。
手術費用:10万円
手術後の入院費用3日間:6万円
手術後の通院費用7日間通院:8万円
(合計)24万円
骨折は、完治するまで1ヵ月~4ヵ月程度かかります。通院やレントゲン検査などの診察を含め、70万円以上かかった例もあります。
猫のパーソナル空間になる(多頭飼いのメリット)
ケージは、猫がリラックスできるパーソナルスペースになります。多頭飼いしていて、例えば、猫同士よくケンカをするなら、ケージは逃げ込める場所になるでしょう。
猫それぞれのケージがあれば、キャットフードの横取りができないので、特定の猫だけ肥満になるといことから防ぐことができます。また、それぞれの尿やウンチが確認できますので、体の異変に気づきやすいというメリットがあります。
災害時やペットホテルでのストレス軽減
災害時に避難所で、飼い主さんと猫が一緒に寝起きすることはできません。猫は、ケージやキャリーで生活することになります。普段からケージやキャリーに慣れている猫なら、ストレスが軽減され、鳴き叫ぶことはないでしょう。ペットホテルや入院時も同様です。
また、引っ越しする際、猫にとってのパーソナルスペースであるケージも引っ越し先に持って行けば、新しい環境にストレスを感じることなく早くなれていきます。
※避難所にペット用のケージやキャリーは用意されていません。また、ペット用の物資もありませんので、1週間分のフード、水、糞尿処理製品、薬などを入れた「ペット用非常持出袋」を用意しておきましょう。
ケージを利用するなら
ケージを利用するなら、猫が上下運動できるように、2段か3段のものを選びましょう。子猫の時期は1段、成長するにつれて上にたしていけるケージがおすすめです。
上の写真のような3段のケージの場合、下段にトイレ、爪とぎ、おもちゃを置き、中段は食事や水飲み場とし、上段にはベッドを置くのが基本です。
木製はニオイが染みこみやすいのでおすすめできません。強度や掃除、消毒のしやすさからスチール製のケージがおすすめです。
アイリスオーヤマには、猫用のケージが豊富に用意されていますので、参考にされてはいかがでしょうか。
まとめ
猫専用の部屋、あるいは、室内に猫だけのスペースがある場合は、ケージは必要がないかもしれませんが、次のような理由でケージの利用をおすすめします。
・誤飲を防げる
・高所からの落下事故を防げる
・猫のパーソナル空間になる(多頭飼いのメリット)
・災害時やペットホテルでのストレス軽減
飼い主さんの目が届くときはケージの外で、目を離す場合はケージに入れておくと安心です。