猫が食べてはいけない植物20種!【前編】室内に置いては絶対ダメ!

猫の飼い主としては、猫に与えてはいけない食べ物・飲み物については関心度が高く、知っていることが多いです。

猫に与えてよいのかどうか迷った場合は、ネットで調べれば詳しい答えが返ってきます。

しかし、猫が食べてはいけない植物については、関心度が高くないように思えます。

ところが、ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)のサイトには、猫に有毒な植物が、なんと、400種類以上もリストアップされています。

この記事では、日本でもよく知られている植物で、特に猫が食べてはいけない植物を20種選んでご紹介しています。

 

猫が食べてはいけない植物20種一覧

猫が食べてはいけない植物20種
No. 植物名 危険度
1 ユリ 5
2 チューリップ 5
3 ポトス 5
4 ツツジ 5
5 アイビー 4
6 クリスマスローズ 4
7 シクラメン 4
8 スズラン 4
9 イヌサフラン 4
10 カランコエ 4
11 キョウチクトウ 4
12 イチイ 4
13 トウゴマ 4
14 アサガオ 4
15 ホオズキ 4
16 スイセン 3
17 アマリリス 3
18 ポインセチア 3
19 キク 3
20 アジサイ 3

 

猫に危険な植物【前編】

上の一覧の植物を詳しくご紹介しますが、長くなりますので、No.1~No.10を【前編】とし、残りは【後編】として別のページでご紹介することにしました。

猫が花に触れるだけで、皮膚炎を引き起こす植物もありますので、室内に置かないようにしてください。

 

ユリ/花粉を含む全て

猫が、「ユリ」の花びら、葉、茎、根のどの部分を食べても有害です。

また、猫がユリの花粉に触れた後、毛づくろいでその部分を舐めても中毒を起こす可能性があります。ユリを生けた花瓶の水さえも、猫にとっては有害だと言われています。

軽度の場合は、嘔吐、よだれを垂らす、多飲多尿、元気消失、食欲がないといった症状がみられます。※普段、猫は犬のようによだれを垂らすことはありません。

重度になると、急性腎不全を引き起こし、死に至ることがあります。少量でも重度になる可能性があるので注意が必要です。

<ユリ(ユリ科ユリ属)の仲間>
・ヤマユリ
・オニユリ
・カノコユリ
・ササユリ
・テッポウユリ
・オトメユリ
※猫・犬は、人間の食用としてのユリ根でも中毒を起こします。

ユリ科の植物であった「ヘメロカリス」も、全ての部分が猫には有毒であると言われています。※ヘメロカリス:ツルボラン科(ワスレグサ科)/ワスレグサ属(ヘメロカリス属)

 

チューリップ/花粉を含む全て(特に球根)

チューリップは、ユリ科チューリップ属の花で、ユリ同様どの部分を猫が食べても中毒を起こします。花粉や生けた花瓶の水にも注意が必要です。

チューリップには、「ツリピン」という有毒な物質が含まれていて(特に球根部分)、ツリピン中毒を起こすと、嘔吐や下痢、血便、食欲低下といった症状が現れます。重度になると、呼吸困難、流涙(りゅうるい=涙目)、けいれん、不整脈を起こし、死に至ることがあります。

また、「ツリパリン」というアレルギー性物質も含まれており、チューリップに触れることで皮膚炎を発症することがあります。

特に猫の場合、チューリップを食べると、腎不全からの尿毒症に至ることもあります。

 

ポトス/全て(特に茎)

ポトスはサトイモ科に属している観葉植物です。初心者でも育て安く、流通量が多いことから人気の観葉植物です。

しかし、ポトスには、「シュウ酸カルシウム」の結晶が含まれており、猫がポトスをかじるだけでも口の中の粘膜を刺激し、炎症を起こします。

激しい灼熱感を伴うことがあり、ごはんが食べられない状態になります。

樹液に触れると、皮膚炎を起こすこともあります。

その他の症状としては、嘔吐、発熱、過度のよだれがあげられます。重度になると腎障害を起こします。

<その他のサトイモ科の植物>
・スパティフィラム
・フィロデンドロン
・ディフェンバキア
・スキンダブサス
・エピプレムヌム
・モンステラ
・クワズイモ
・アンスリウム
・カラー
・アロカシア
・アグラオネマ
・カラジウム
・シンゴニウム など

ほとんどのサトイモ科の植物には、シュウ酸カルシウムの結晶が含まれていると言われているので、サトイモ科の観葉植物を室内に置かないようにしましょう。

 

ツツジ/全て(特に花の蜜と葉)

ツツジには、「グラヤノトキシン」という痙攣性(けいれんせい)の毒性の物質が含まれています。

猫が、グラヤノトキシン中毒にかかると、強い血圧降下、嘔吐、運動麻痺,呼吸困難,四肢痙攣(ししけいれん)、抑うつ(よくうつ/弱いうつ状態)を起こします。重度の場合は死に至ることも。

猫に対する致死量は、体重1kgあたり0.35mg(皮下注射)、0.18mg(静脈注射)です。

ツツジの花のハチミツでも中毒を起こすことが知られています。

<気をつけたいその他のツツジ科の植物>
・シャクナゲ
・レンゲツツジ
・アセビ
・ネジキ など

出典:Wikipedia

 

アイビー(ヘデラ)/葉と果実(特に葉)

アイビーは、日本では、学名「ヘデラ」の名でも約100種類が流通しています。最もよく知られているのが、イングリッシュアイビー(=セイヨウキヅタ、=ヘデラ・へリックス)です。

アイビーは、ベンゼンやホルムアルデヒドといった化学物質を取り除くことができるので、室内に置くと室内の空気清浄効果を発揮し、シックハウス症候群が軽減する可能性があります。

しかし、猫に限らず人でも、アイビーの樹液に触れると、皮膚炎を引き起こす可能性があります。

また、摂取すると、嘔吐、よだれ、下痢、食欲減少といった症状が出ます。

<よく知られているアイビー(ヘデラ)の種類>
・イングリッシュアイビー(セイヨウキヅタ、ヘデラ・へリックス)Hedera helix
・オカメヅタ(ヘデラ・カナリエンシス)Hedera canariensis
・コルシカキヅタ(ヘデラ・コルシカ)Hedera colchica
・キヅタ(Hedera rhombea)

 

クリスマスローズ/全て(特に根)

クリスマスローズには、「プロトアネモニン」などの強心配糖体(きょうしんはいとうたい)と呼ばれる毒性の物質が含まれています。

強心配糖体は、心臓の収縮力を強化する作用がある物質なので、治療に用いられることもありますが、クリスマスローズを摂取すると、有毒として作用します。

猫がクリスマスローズの樹液に触れると、皮膚炎を引き起こす可能性があります。

また、猫がクリスマスローズを摂取すると、腹痛、嘔吐、下痢、よだれ、脱力感といった症状を引き起こします。重度になると、けいれん、不整脈、血圧低下、心臓麻痺を起こします。

クリスマスローズは、キンポウゲ科の植物です。キンポウゲ科の植物には毒性が強い植物が多いので注意が必要です。猛毒のトリカブトもキンポウゲ科です。

<気をつけたい身近なキンポウゲ科の植物>
・ランキュラス
・デルフィニウム
・ラークスパー
・クレマチス
・アネモネ
・キツネノボタン
・フクジュソウ

 

シクラメン/全て(特に球根)

シクラメンには、毒となる「トリテルペノイドサポニン」が含まれており、少量でも猫がかじったり摂取すると、嘔吐、下痢、よだれ、食欲不振といった症状が現れます。

特にシクラメンの地下茎(ちかけい)を大量に摂取すると、不整脈や発作を起こし、死に至ることがあります。※シクラメンは、地下茎が肥大した塊茎(かいけい)=球根を持つ植物です。

 

スズラン/全て(特に花と球根)

スズランのすべての部分に、「コンバラトキシン」などの強心配糖体という有毒物質が、30種類以上も含まれています。花が咲き終わった後、実をつけますが、この実も中の種も有毒です。

コンバラトキシンは水に溶けるので、猫がスズランを生けた花瓶の水を飲んでも中毒を起こす可能性があります。

コンバラトキシンを摂取した場合の致死量は、体重1kgあたり0.08mgです(LD50:50%致死量)

猫がスズランの樹液に触れると、皮膚炎を引き起こす可能性があります。

また、猫がスズランを摂取すると、嘔吐、よだれ、食欲不振、下痢といった症状が現れます。

重度になると、不整脈、徐脈(じょみゃく/心拍が遅くなること)、低血圧、発作を引き起こします。昏睡状態になり死に至る可能性もあります。

<気をつけたい身近な強心配糖体を含む植物>
・クリスマスローズ
・キョウチクトウ
・ジギタリス(キツネノテブクロ)
・カランコエ

 

イヌサフラン/全て(特に葉、花、球根、種)

イヌサフランには、「コルヒチン」という有毒な物質が含まれています。ヒトでは、古くから痛風などの治療薬としてコルヒチンが使用されてきました。

猫がイヌサフランを摂取すると、腹痛、嘔吐(吐血)、下痢という症状が現れ、重度になると、呼吸困難、痙攣、多臓器損傷などを引き起こします。

人が、イヌサフランの球根をニンニクやジャガイモ、葉をギョウジャニンニクやギボウシと間違えて食べて死亡した例が報告されています。

なお、名前に「イヌ」がついていますが、「犬」とは関係がありません。「いぬ」は、「むだで役に立たない」という意味です。イヌサフランの花は、料理で使うサフランの花に似ていることから、名前に「サフラン」がついています。

また、イヌサフランの英名は、「Autumn crocus(オータム・クロッカス)」と言いますが、イヌサフランはクロッカスとは別の植物です。

つまり、イヌサフランは、サフランでもクロッカスでもない植物です。

 

カランコエ/全て(特に花)

カランコエには、強心配糖体の「ブファジエノライド」という有毒な物質が含まれています。花が咲く春から夏にかけて毒性が増加します。

猫がカランコエを摂取してしまうと、嘔吐、下痢、まれに不整脈を起こします。

カランコエ属の植物は、種類が大変豊富です。また、胡蝶の舞、福兎耳、子宝弁慶、悪魔の背骨など、ユニークな名前が多いので購入の際には注意が必要です。

>>猫が食べてはいけない植物20種!【後編】へ

 

<参考>
『猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑』(服部幸監修、ねこねっこ)
Toxic and Non-Toxic Plant List – Cats」(ASPCA)
Poisonous Plants for Cats」(PETMD)
シャクナゲ葉による中毒事例」(姉帯正樹・佐藤正幸・倉本倫之介『北海道立衛生研究所報 第59集』2009年)
自然毒のリスクプロファイル」(厚生労働省)

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