猫の知能レベルは、大脳皮質のニューロン(神経細胞)の数で説明されることがあります。
また、さまざまな実験や観察から、何歳くらいの人間に相当するかで、猫の知能レベルを説明されることもあります。
猫に関しては、犬よりも研究されていないので、「おそらく~ではないか」という点が多いのが現状です。
猫のニューロンの数
神経科学者であるヴァンダービルト大学(米国テネシー州ナッシュビル市)のスザーナ・エルクラーノ=アウゼル氏らの研究チームは、猫の大脳皮質のニューロンの数は2億5000万個であると報告しています。
これに対して、雑種の小型犬のニューロンの数は4億2900万個、ゴールデンレトリバーは6億2700万個でした。
大脳皮質のニューロンは、脳内で情報伝達を担う神経細胞で、数が多いほど情報処理能力は高い、つまり知能が高いとされます。
よって、犬の方が猫より知能が高いということになります。
ちなみに、ヒトの大脳皮質にあるニューロンの数は160億個です。
スザーナ・エルクラーノ=アウゼル氏は、「知性を測る一つの手法にすぎない」と語っていますが、猫派の方にとっては、少し悲しい情報ですね。
次に、猫の知能は、人間の何歳くらいに相当するかについてご紹介しましょう。
猫の知能は何歳位の人間に相当するか
成猫の知能は、行動や学習能力などから、2歳ないしは2歳~3歳の幼児の知能に相当すると言われています。
研究者は、動物の知能の程度を知るため、さまざまな実験を行っています。
実験-対象の永続性はあるのか-
例えば、猫におもちゃをじっくり見せて、ダンボールなどの後ろにおもちゃを隠します。
猫は、目の前からおもちゃが消えても、おもちゃがダンボールの後ろに存在していることを理解し、おそらくおもちゃを探しに行くでしょう。
次に、じっくり見せたおもちゃを容器の中に入れ、壁の後ろに持って行きます。
壁の後ろで容器からおもちゃを取り出し、空になった容器を猫に見せます。
猫は、壁の後ろにおもちゃがあることを理解し、探しにいくでしょうか。
猫は、この実験はクリアできないようです。
「対象の永続性」という概念を持っているかを調べる実験の一つで、対象の永続性に関しては、猫は、人間で言えば生後8ヵ月~12ヵ月に相当すると言われています。
数の認識
人間の2歳~3歳では、1つ、2つ、3つ、4つくらいまでは区別できるようになります。
猫は、数を数えられるのでしょうか。
現在のところ、猫は、2つの点の集合と、3つの点の集合の違いはわかるようですが、数を数えられるかはよくわかっていないようです。
ただ、例えば、子猫を産んだ母猫は、1匹でも行方不明になると探しに行くことが多いことから、産んだ数の6~7匹まで数えられる可能性はあります。
可能性はあるけれど、おそらく数えられるのは3~4匹までではないかと言われています。
記憶力
猫は、ジャンプしてドアノブに足を引っかけてドアを開けたり、呼び鈴(コールベル)を鳴らせばおやつがもらえるなど、経験や観察によって学習し、記憶していきます。
「猫は三年の恩を三日で忘れる」と言われていますが、猫の記憶は10年以上続くことがわかっています。
また、猫は短期記憶の持続力に犬よりも優れているという報告があります。
例えば、初めて見る電話番号をあなたはいつまで覚えていられるでしょうか。おそらく、何か別の用事をしている間に忘れてしまうでしょう。このような記憶を短期記憶と言います。
2歳~3歳の人間の場合、特に楽しかったことや怖かったことなどが、よく記憶に残る頃です。
かつて病院で注射を打たれた怖い経験をしていたなら、病院へ行く道順を覚えていて、病院が近づくと声をあげて泣いてしまったりします。
猫も同じように、キャリーバッグに入れられると、動物病院で注射を打たれた怖い記憶がよみがえり、激しく鳴いたりあばれたりすることがあります。
まとめ
猫の知能レベルについてご紹介しました。
猫の知能レベルは、大脳脂質のニューロン(神経細胞)の数で説明される場合と、人間だと何歳くらいに相当するかで説明される場合があります。
猫のニューロンの数は、犬の約半分であることがわかりました。
猫の知能は、人間の2歳ないしは2歳~3歳くらいであると言われています。
ニューロンの数が犬の半分だからといって、犬より知能が低いとは結論できません。猫には、犬や人間と比較できない優れた知能がたくさんあります。
猫の賢さは、身近にいる飼い主さんが一番知っているのではないでしょうか。