猫を飼うのにかかる費用を知りたい!年間いくら必要なの?

猫を飼っている方は、年間どれくらいの費用をかけているのか調べてみました。

アニコム損害保険株式会社の調査(2022年3月発表)によると、猫にかかった年間費用は約17万円ということがわかりました。

最も多くかかったのは、キャットフード・おやつ代です。その他どのようなことにお金がかかるもみていきましょう。

また、猫の飼い主が、最近購入した新しいアイテムもご紹介します。

 

猫を飼うのにかかる費用と内訳

費用の内訳 (円)
項 目 年間 1か月 生涯
フード・おやつ 52,797 4,400 844,752
ペット保険料 29,900 2,492 478,400
ケガや病気の治療費 34,395 2,866 550,320
ワクチン・健康診断等の予防費 13,785 1,149 220,560
日用品 13,633 1,136 218,128
光熱費 12,785 1,065 204,560
サプリメント 4,428 369 70,848
シャンプー・カット・トリミング料 3,034 253 48,544
首輪・リード 1,494 125 23,904
ペットホテル・ペットシッター 1,065 89 17,040
防災用品 884 74 14,144
洋服 495 41 7,920
その他 552 46 8,832
合計 169,247 14,104 2,707,952
出典:アニコム損害保険株式会社 (一部改)https://mag.anicom-sompo.co.jp/21232

※項目は犬との共用なので、「トリミング?」、「リード?」と思われたかもしれません。
※ペットホテル代が安いという印象がありますが、通常、ペットホテル代は、猫だと1泊3,300円(税込)はします。
※完全室内飼いの猫の平均寿命は約16年です。よって、生涯にかかる費用は、年間の費用を16倍しています。

 

猫の年間にかかるキャットフード・おやつ代

猫のフード・おやつにかかる年間費用は、約5.3万円です。前年の調査に比べて1.23倍増加しています。1か月あたり約4,400円、生涯では84.4万円かかります。

犬のフード・おやつ代が前年より少し増加したのに対して、猫のフード・おやつ代が大きく増加したのは、「猫の健康志向の高まり」があるのではないかと、アニコムは分析しています。

猫の飼い主は、増加した理由として、「体のために質のよいフードに変えた」、「健康に留意して自然食品に変えた」といった回答をしています。

一方で、「家にいる時間が増えて、ついついあげてしまった」というコロナ禍を反映した 回答もありました。

 

ペット保険料-どんなことを補償してくれるの-

ペット保険料は、一般的に、どの動物病院で診察を受けても補償されます。一旦窓口で全額を支払い、後日、飼い主側が保険会社に請求します。

ただし、飼い主が、動物病院と提携している保険会社に加入していれば、動物病院が清算してくれて、自己負担分の支払いだけで済むことがあります。金額が大きいときには助かりますし、めんどうな手続きをしなくて済みます。

 

窓口精算可能な2大保険会社

猫の診察が可能な動物病院は、全国に約12,000施設あります。

この内、「アイペット損害保険」に対応している動物病院は5,740施設、「アニコム損害保険」に対応している動物病院は6,629施設あります(2023年1月7日現在)。

アイペット損保とアニコム損保で約7割のシェアを占めていますので、全国の動物病院はどちらかに対応していと思われます。

アイペット対応動物病院検索>>https://www.ipetclub.jp/vh/
アニコム対応動物病院検索>>https://www.anicom-ah.com/

 

補償内容

「補償の対象」として、ほとんどの保険会社が定めているのが次の3つです。
1.通院(診療費、処方薬、処置費)
2.入院
3.手術

通院と入院は、日額上限と限度日数が設けられています。また、手術に関しても、1回あたりの上限額や年間限度額が設けられているのが一般的です。

ワクチン接種をしていれば防げたであろう感染症などは、補償の対象外になることがあります。

「補償の対象外」として、ほとんどの保険会社が定めているのが次の3つです。
1.去勢・避妊処置
2.ワクチン接種
3.健康診断

「補償の対象」と「補償の対象外」を3つずつあげましたが、まだまだ細かい規定がありますので、ペット保険を検討する場合は、しっかり確認しておく必要があります。

また、新規で保険に加入する場合、年齢制限があることを知っておきましょう。例えば、アニコム損保が7歳11か月まで、アイペット損保が12歳11か月までです。ただし、アニコムの場合8歳から何歳でも加入できるプランもあります。

 

ペット保険の加入率

アニコム損保の調査では、ペット保険の加入率は12.2%です(猫と犬)。一方、ペット保険相談サービス・MOFFME(モフミー)の調査では、猫が28.0%、犬が52.4%の加入率でした。MOFFMEの調査結果は、一般的に言われているペット保険の加入率より高いようです。

株式会社富士経済「2021年ペット関連市場マーケティング総覧」、一般社団法人ペットフード協会「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」の推計をもとにすると、16%前後と言われている。引用:MOFFME

ペット保険の加入率は、年々増加の傾向にありますが、海外の加入率が30%~40%ほどに比べれば、日本ではまだまだ低いと言えます。

 

ケガや病気の治療費

猫の診療費請求件数 TOP10
順位 傷病名 件数 1頭あたりの
年間診療回数
1頭あたりの
年間平均治療費(円)
1 慢性腎臓病(腎不全含む) 61,923 15.0 272,598
2 嘔吐/下痢/血便(原因未定) 20,523 2.2 37,601
3 膀胱炎 14,620 3.0 45,741
4 胃炎/胃腸炎/腸炎 11,934 2.2 36,334
5 心筋症 7,377 6.6 164,135
6 結膜炎(結膜浮腫含む) 7,354 1.7 18,647
7 原因未定の外耳炎 6,630 2.7 28,166
8 元気喪失(食欲不振含む、原因未定) 6,922 2.4 48,947
9 糖尿病 6,084 14.0 321,831
10 原因未定の皮膚炎 6,072 2.2 24,592
出典:アニコム損害保険株式会社 https://www.anicom-sompo.co.jp/cats/

高齢猫の大半が患っていると言われている「慢性腎臓病」。高齢猫の死因の1位が慢性腎臓病です。慢性腎臓病は早期発見が難しく、慢性腎臓病にみられる症状の一つに「多飲多尿」がありますが、飼い猫の多飲多尿に気づいたときには、腎機能の3分の2は失われていると言われています。

AIM医学研究所の宮崎徹先生によれば、慢性腎臓病が予防できれば、(完全室内飼いの)猫は30歳まで生きられる可能性があるそうです。

 

光熱費-エアコンは必須?-

猫は、人と同じように体温を一定の温度に保つ機能があります。しかし、汗をかく場所が肉球と鼻に限られているため、汗をかいて体温を下げることはできません。

猫は汗をかいて体温調節ができないので、室内飼いの場合、夏場のエアコンは必須です。

猫に快適な室温を調べると、様々書かれていますが、獣医師・茂木千恵先生によると、「基本的に猫が快適だと思う温度は23~28度くらい」だそうです。続けて茂木先生は次のように言っています。「人間でも快適な温度は人それぞれであるように、猫もそれぞれの好みがあります。猫の様子をよく見てみましょう。」

夏場に室内が28℃を超えると熱中症になる危険があり、冬場に室温が21℃未満になると体温の維持が難しくなります。茂木先生は、夏場、猫のいる部屋のエアコンは、27~28℃の設定を推奨しています。

また、夏場の室内が適切な温度でも、湿度が70%を超えると熱中症の危険度が高まります。猫にとって適切な湿度は50~60%です。

 

<エアコンの1時間あたりの電気代の計算式>
エアコンの1時間あたりの電気代は、次の式で求めることができます。

「エアコンの消費電力(kW)×27円=1時間あたりの電気代」
※Wで表示されている場合は1000で割ります。
※27円は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が新電力料金目安単価としているものです。

(例)冷房時の消費電力が640Wのエアコンの場合
640(W)÷1000×27(円)=17.28円(1時間あたりの電気代)

1日に8時間使用すれば、1日のエアコンの電気代は「138.24円」になります。1か月(30日)だと「4,147.2円」になるので、アンケートの「1,065円」というのは安い結果になっていると思われます。

上記の表の光熱費
項 目 年間 1か月 生涯
光熱費 12,785円 1,065円 204,560円

参考:エアコンの「期間消費電力量(kWh)」がわかっている場合、「期間消費電力量(kWh)×27円」で年間の電気代が計算できます。例えば、期間消費電力量が815kWhのエアコンだと、「815(kWh)×27円=22,005円(年間の電気代)」になります。

 

ワクチン接種費用

ワクチン接種の費用は、1種につき最低1,000円かかります。都会にある動物病院ほど費用が高くなる傾向にあります。

5種
混合
ワク
チン
3種
混合
ワク
チン
(1)猫ウイルス性鼻気管炎 3,000円~5,000円 5,000円~10,000円
(2)猫カリシウイルス感染症
(3)猫汎白血球減少症
(4)猫白血病ウイルス感染症
(5)猫クラミジア感染症

一般的に、3種混合ワクチンか5種混合ワクチンを接種します。3種混合ワクチン(1)~(3)に(4)~(5)をたしたのが、5種混合ワクチンです。

1頭を室内で飼う場合、3種混合ワクチンだけでもよいのですが、脱走する可能性があるなら、5種混合ワクチンの接種をおすすめします。

室内飼いでも多頭飼いする場合や屋外に出している場合は、5種混合ワクチンの接種を強くおすすめします。

ワクチンの副作用についてはこちらに書いています。
>>「猫のワクチンの副作用はまれなケース?よくあるケース?

 

去勢・避妊費用

オスの場合、生後8~12か月、メスの場合、生後4~12ヵ月を目安に手術をおこないます。

去勢をすると、精巣腫瘍の予防、前立腺疾患や会陰ヘルニアの発生率を下げると言われています。避妊をすると、メス猫に多くみられる乳腺癌の予防効果がみこめます。

去勢手術は5,000円~20,000円、避妊手術は、卵巣のみの摘出で10,000円~30,000円、卵巣と子宮の摘出で10,000円~40,000円ほどの費用がかかります。

手術の前日、あるいは数日前に手術前検査、術後の診察などの費用が別途必要です。

 

新しく購入したアイテムは?

新しく購入したアイテムとして、「見守りカメラ」、「自動給餌器きゅうじき」、「自動給水器(水飲み器)」、「システムトイレ」という回答がありました。

 

見守りカメラ

アニコムの調査によると、「見守りカメラ」を購入している飼い主さんが増えています。

「見守りカメラ」は、別名「ネットワークカメラ」、「IPカメラ」などと呼ばれ、出先で留守番中のペットなどの様子をスマホで見ることができるアイテムです。※インターネット環境は必要。

猫は水平方向だけでなく、上下にも移動しますので、広範囲をカバーできる見守りカメラをおすすめします。5千円台で性能の良い見守りカメラが売られています。

↓ 音声が入っています(音量に注意)。↓

上の動画の見守りカメラは、2022年に「グッドデザイン賞」を受賞した人気の「SwitchBot(スイッチボット)の見守りカメラ」です。※Wi-Fi環境が必要(Wi-Fi規格2.4GHz、5GHz未対応)。

SwitchBotには、「見守りカメラ」と「見守りカメラ3MP」の2種類があります。違いは次の通りです。

見守りカメラ 見守りカメラ3MP
画素数 200万画素 300万画素
解像度 1080PフルHD 2K
マイクロSDカード(別売) 128GBまで 256GBまで
音声アラート ×
自動追跡 水平360° 水平360°・垂直115°
本体重量 約195g 約197g
価格 4,480円(税込) 4,980円(税込)

猫は上下にも移動しますので、上下に動く物でも自動で追跡できる「見守りカメラ3MP」をおすすめします。「見守りカメラ3MP」と機能は同じですが、可愛い猫のデザインの「にゃんボット」(税込5,980円)という商品もあります。

※公式ショップとAmazonの価格は同じです。ただし、公式ショップの場合、税込2,000円以上の購入で送料無料(北海道・沖縄は税込10,000円以上の購入で送料無料)です。

>>「見守りカメラ」の詳細(公式サイト)
>>「見守りカメラ3MP」の詳細(公式サイト)
>>「にゃんボット」の詳細(公式サイト)

自動給餌器

「自動給餌器」は、飼い主さんが設定した時間に、自動的にキャットフードが出てくる商品です。最近は、スマホで離れた所からフードを出すことができる商品もあります。価格は、5,000円~10,000円の間のものが最も多いです。

飼い主さんが直接愛猫にフードをあげたいところですが、急な残業や外泊しなければならない時などに「自動給餌器」があれば安心できるかもしれません。

 

自動給餌器のメリット

・急な残業や外泊のときでもフードをあげることができる。
・決まった量を与えることができるので、あげすぎを防止できる。
・早朝、猫に起こされることがなくなる可能性がある。 など

 

自動給餌器のデメリット

・ウエットフードをあげることができない。
・多頭飼いの場合、フードの横取りを防止できない。
・電源が電気だけだと停電の時に使えない。 など

>>Amazonの「猫用自動給餌器の売れ筋ランキング」を見る

 

自動給水器(水飲み器)

「自動給水器」は、水を循環させながらフィルターでろ過する製品です。いつでも新鮮で安全な水を愛猫にあげられるということで購入する飼い主さんが増えています。価格は、3,000円~6,000円の間のものが最も多いです。

 

自動給水器のメリット

・いつでも新鮮で安全な水をあげられる。
・留守番中に水をかえる必要がない。
・水を飲む量が増える可能性があるので泌尿器系の病気予防になる。 など

 

自動給水器のデメリット

・水を循環させるモーター音を警戒して飲まない場合がある。
・飼い主が、夜、水が循環する音や水が落ちる音が気になる。
・自動給水器の掃除がめんどう。 など

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まとめ

アニコム損保の調査によると、猫にかかる費用は、年間約17万円でした。17万円中、最も多く占めているのが、フード・おやつ代です。

フード・おやつ代は、昨年よりも増えています。愛猫への健康志向が高まっているというのが、理由としてあげられています。また、コロナ禍の影響で家にいることが多いので、ついついフード・おやつをあげてしまったという回答もありました。

ペット保険が費用に占める割合が大きいのですが、欧米に比べて日本の加入率は低いと言えます。猫の寿命が延びていますので、高齢の期間が長くなり、動物病院に通う回数が増えていると思われます。ペット保険に未加入の方は、加入を検討してみてもよいかもしれません。

「フード・おやつ代」、「ペット保険代」、「ケガや病気の治療費」の3項目だけで、費用の約7割を占めています。

猫をこれから飼うことを検討している人は、費用面でも覚悟をしておかなければなりません。

参考>
ペットにかける年間支出調査(アニコム損害保険株式会社)
飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)(農林水産省)
宮崎徹『猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見』時事通信社
・茂木千恵、荒川真希監修『猫にいいこと大全』主婦の友社

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