猫好きの皆さんにとって、鰹節は魅力的な食材の一つです。その香りや味わいに、猫も思わず興味を示すことが多いでしょう。しかし、私たち人間が普段食べている鰹節をそのまま猫に与えても安全なのでしょうか?
この記事では、猫に人間用の鰹節を与えることが健康にどのような影響を及ぼすのかを詳しく検証していきます。猫の健康を守るために知っておくべきポイントや、注意すべき成分についても解説します。猫にとっての適切な食事について考えるきっかけになれば幸いです。
猫に鰹節の人間用を与えても大丈夫なのか?
健康な成猫に限り、猫に鰹節の人間用を与えても問題はありません。ただし、「ひとつまみ」程度(0.5g~1g)にしましょう。1gで3.27カロリーです。また、猫に鰹節を毎日与えるのではなく、週に数回程度にするのが推奨されます。
いつものキャットフードにトッピングすれば、鰹節の良い香りにつられて、減退気味の食欲が通常に戻る可能性があります。
※ここで取り上げている鰹節とは、鰹削り節(薄削り、花削り)のことです。粉末タイプの鰹節は、猫が咳き込む原因になるのでNGです。
鰹節が猫の健康に与える影響
鰹節は猫にとって魅力的な香りと味を持っています。しかし、大量に毎日摂取し続けると、猫の健康に影響を及ぼす可能性があります。特に「人間用」の鰹節には注意が必要です。
猫が鰹節を食べることによる健康リスク
鰹節には、ミネラルが豊富に含まれているため、猫が、常食、あるいは過剰摂取すると、体内のミネラルバランスがくずれ、結石症を起こす可能性があります。また、人間用のものは塩分が高いので、「塩分過多」は、高血圧や腎臓病の原因になることがあります。
猫の生命維持に欠かせないミネラルは、現在、次の12種類です。
<主要必須ミネラル>
・カルシウム(Ca)
・リン(P)
・カリウム(K)
・ナトリウム(Na)
・塩素(Cl)
・マグネシウム(Mg)
<微量必須ミネラル>
・鉄(Fe)
・銅(Cu)
・マンガン(Mn)
・亜鉛(Zn)
・セレン(Se)
・ヨウ素(I)
それぞれ、過剰摂取、または欠乏すると、体調をくずす原因になります。
信頼あるペットフード会社の総合栄養食のキャットフードを与えていれば、バランスよくミネラルを摂ることができます。
猫の尿路結石と鰹節の関係
例えば、体内の「リン」と「カルシウム」のバランスがとれていると、リンとカルシウムが結合して歯や骨の主成分になります。
しかし、「リン」が「カルシウム」より多くなると、リンは尿と一緒に排出されるのですが、同じく尿と一緒に排出される「マグネシウム」と結合して、腎臓・尿道・尿管・膀胱に結石を形成する可能性があります(ストルバイト結石)。
「シュウ酸」と「カルシウム」が結合して結石を形成する「シュウ酸カルシウム結石」というのもあって、「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」を合わせて、結石症の約9割を占めています。
※シュウ酸:ホウレン草、タケノコなどに多く含まれ、「あく」の主成分がシュウ酸です。
鰹節の過剰摂取が猫の腎臓に与える影響
鰹節は猫にとって魅力的な「おやつ」ですが、過剰摂取は注意が必要です。「鰹節」には高濃度のナトリウムが含まれており、これが腎臓に「負担」をかける可能性があります。
ナトリウムは、ほぼ塩分と考えて間違いはありません。特に人間用の鰹節は塩分が多いため、猫の健康に「悪影響」を及ぼすことがあります。腎臓が弱っている猫や高齢の猫にとっては、さらにリスクが高まります。
適切な量を守り、猫専用の鰹節を選ぶことが大切です。猫の健康を守るために、鰹節の与え方を見直しましょう。
猫が鰹節を食べ続けて見られる症状
鰹節は猫にとって魅力的な食材ですが、「人間用」の鰹節を食べ続けると健康に影響が出ることがあります。特に、塩分や添加物が含まれている場合、猫の腎臓に負担をかける可能性があります。
症状としては、頻繁な「水分摂取」や尿の増加、食欲不振、嘔吐などが見られることがあります。これらの症状が現れた場合は、すぐに獣医師に相談することが大切です。猫には専用の食事を与えることが推奨されており、鰹節は特別なものとして少量にとどめることが重要です。
猫用鰹節と人間用鰹節の違い
猫用(ペット用)と人間用の違いは、塩分を減らしているか、そのままかによります。
猫用(ペット用)の鰹節は、「食塩無添加」、「低塩」を強調しています。しかし、100gあたりの食塩相当量は不明です。ミネラルなどの栄養素についても不明ですが、人間用と同じだと思われます。
一方、人間用の鰹削り節の食塩相当量は、100gあたり1.2gといのがわかっています。環境省によると、1日の塩分摂取量の目安は、体重5kgの猫(避妊・去勢済み)の場合、「0.33g」です。
よって、ひとつまみ程度(0.5g~1g)なら、人間用の鰹節を与えても問題はありません。先に述べていますが、粉末タイプの鰹節は、猫が咳き込む原因になるのでNGです。
鰹節の「だしがら」を与えてもいいの?
鰹節で「だし」をとった後の「だしがら」は、塩分が少しぬけますが、マグネシウムやリンなどのミネラルは残っています。
だしをとる前のかつお節と同様に、ひとつまみ程度なら問題はありません。
参考:
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」文部科学省
「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」環境省
かつお節,かつおぶし,鰹節